税理士会の租税教育って何?
昨日、東京税理士会の租税教育講師養成研修会に行って参りました。
自分が想像していた「租税教育」と税理士会が目指す「租税教育」が違っていたのでその辺も書いてみたいと思います。
なぜ租税教育をやるの?
そもそもなぜ税理士会が租税教育をやるのかというと、その発端は、平成23年度税制改正大綱で官民一体となって租税教育を行っていくことが決まったことから始まります。
これを機に税理士会では、平成26年の税理士法改正により「租税教育」を事業として取り組んでいくことがその法の会則に記載されました。
具体的な教育の対象者は、小中高生や特別支援学校などです。
租税教育とは「税を通して社会を考える学習」
租税教育といえば、所得税や法人税など各税の基本的知識を教えたり、正しい納税額の計算方法を教えたりするイメージがあります。
しかし、税理士会の租税教育は、「税を通して社会を考える学習」が本質であるといっています。
つまり、税を通して社会を考えることで、自分がこの民主主義社会の構成員であることを自覚し、その社会に主体的、積極的に参加する意欲を高めることを目的としてます。
具体的には、現行の税金の集め方や使われ方を学び知れば、そこに何かしらの疑問、不満が生じます。その税金の集め方・使われ方を決めるのは政治家です。よって、その政治家の中から自分の理想とする税の取り方・使われ方と同じ考えを持つ政治家を選挙で投票すること。これも税を通して社会を考え、それにともない社会に参加することの一例といえます。
源泉徴収制度や年末調整が大人の租税教育の機会を奪う
租税教育が、税を通して社会を考える学習だとすれば、一番効果的な教育方法は、自分で所得税の確定申告をすることだと思います。小さなお子さんでは、なかなか難しいですが…。
また、いくら子供たちに租税教育をしても、その子供が大人になって、給料をもらうようになると、会社が給与から源泉徴収をし、年末調整で税額を確定させるケースが多いでしょう。このように会社が税務の手続きをすべてをやってしまえば、大人になってからの「税を通して社会を考える学習 」する機会は奪われます。
もし給与所得者の全員が確定申告をすれば、税務署はパンクすると言われてますが、アメリカではほとんどすべての者が確定申告をやっているので、日本でもやる気になればできるのではないでしょうか?
まとめ
税理士会が租税教育を行って、その教育を受けた子が大人になっても税を通して社会を考えることを続けることが理想的です。しかし現在の所得税の源泉徴収制度及び年末調整は、その機会を阻害しているといえます。