大学院の論文指導教授の選び方

年明けになって、春の税理士試験免除大学院の入試申込みが開始する時期となりました。

税理士を目指す方で、これから大学院の申し込みを考えている方もいらっしゃると思います。

なお申込書には、希望の論文指導教授を選んで記載する欄があるかと思いますが、大学院の内部事情などをよく知らない受験生にとっては、どの教授を選べばよいのか、正直分からないのではないでしょうか?

教授の専門分野などで決めるのが主流でしょうが、それ以外ではどう選べばよいのでしょうか?

わたし自身も税法科目の免除大学院の出身ですが、指導教授を選ぶ際に、情報が少なくて迷いました。

よって、今、指導教授を誰にすればよいか迷っている受験生の方の為に、私が知る限りの選ぶポイントを書いてみたいと思います。

教授には2つのタイプがいる

先ず、大学院で論文を指導してくれる教授には、2つのタイプがいます。それは次の通りです。

  1. 論文テーマ、構成、内容及び参考文献にまで細かく指導するタイプ
  2. 論文テーマ、内容については基本的に生徒の意志を尊重し、出来上がってきた論文に対してポイントだけ意見するタイプ

1のタイプの教授は、税法について「こうあるべき」というこだわりがあり、生徒の論文もなるべく教授自身の考えに沿った内容にしてほしいとの思いで、じわじわとその方向へ導くタイプです。

税法の考えにあまりこだわりがない生徒や、そもそも論文の書き方自体が分からない生徒で、一から細かく丁寧に指導してほしいと考える方は、この1のタイプの教授を選べばよいと思います。

2のタイプの教授は、税法に対してもちろん、こうあるべきという価値観は持っているですが、それよりも生徒の主張・価値観を尊重し、たとえ自分の価値観と違っていても「それではダメ」と言わない、自由・生徒尊重型タイプです。

論文として書きたいテーマがほぼ固まっていて、内容についてなるべく口出しされたくなく、自由に書かせてほしいという生徒は、2のタイプの教授をお勧めします。

ちなみにわたしは、学士(大学生)の時は論文を書かずに卒業したので、論文を書くイロハを知りませんでした。ですから今思えば、一から事細かく指導してくれる教授を選ぶべきだったのですが、縁あって実際は、2のタイプの教授に担当して頂きました。

それぞれのタイプに指導してもらうメリット・デメリット

1の事細かい指導型の教授のメリットとしては、論文作成のプッシュが強いので、論文の文字数がどんどん埋まり、論文作成のテンポが速いことです。生徒としては、論文が進むと精神的にも安定します。

また、教授の意向通りに論文を進めているので、論文内容に対する安心感もあります。

1のタイプのデメリットとしては、教授のプッシュにより文字数はどんどん埋まりますが、教授の価値観に合わない内容のものを書いて提出すると、その部分は削除するように言われ、書き直しとなります。つまり論文の作業量が2のタイプに指導される場合よりも多くを必要とし、その分時間を余計に費やすこととなります。

会計事務所等の仕事が忙しく、なるべく効率的に論文を仕上げて行きたい方は、このタイプの教授ですと、時間を無駄に奪われたという感覚に陥って、イライラしてしまうかもしれません。

2の自由・尊重型のタイプは、生徒の主張満載の論文に対して、「ここが悪い、こう削除・修正しなさい」などとはあまり言わないので、書いた文章がそれほど無駄にならないメリットがあります。

また、自分が書きたい内容をそのまま残せるので気持ちがいいですし、情熱的になれます。

2のタイプの教授に指導を受けるデメリットとしては、事細かく指導されないので、生徒自身が強い意志で論文を進めて行かないと、気づけば、論文提出の締め切りに間に合わなかったという事態になりかねないということです。

また、他の教授参加の論文発表の場で、指導教授以外の教授にダメ出しされて、内容の大幅変更を余儀なくされるリスクもあります(教授間の力関係にも左右されると思いますが)。

計画性があまりなく、嫌なことは後回しにする癖がある方、及び自分の論文内容に情熱を持てない方は、この2タイプの教授はお勧めしません。

どのタイプの教授であるのか?、どうやって判断する?

1のタイプの教授は、教授自身が比較的時間に余裕がある方が多いです。指導するにもそれなりのエネルギーと時間を要するので、学内及び学外で多忙な教授は、1のタイプである可能性は低いです。

したがって、比較的上の立場の教授は学内の会合等で忙しいでしょうし、論文や書籍を沢山発表・発行している教授も時間的に余裕がないので、1のタイプではなく2のタイプの可能性が高いと思われます。立場や書籍等の情報は、ネットでも確認できますのでチェックしてみてください。

また、大学院の「オープンカレッジ」に参加して、教授に直接聞いてみる手もあるかと思いますが、教授の方から直接「私は、2のタイプです」とかは言わないと思います。

どちらのタイプか判断する一番良い方法は、指導された生徒又はOB・OGに直接聞くことです。

希望の大学院の生徒等を探すのは難しいかと思いますが、河合塾KALSなどの大学院入試専門学校にて無料の「合格体験発表会」などがあるので、そこに参加して、発表される生徒の方々に聞いてみるのも手かと思います。

まとめ

大学院の論文指導教授を選ぶときに、その教授の専門分野で選ぶのが主流かと思いますが

それ以外のポイントとしては、その教授がこまめに指導するタイプなのか、自由尊重タイプなのかをを見極めることだと思います。

また自分がどのタイプの教授と相性がいいのかが重要なので、そこをちゃんと考えて選べば、後悔しないと思います。