税理士が国税局の確定申告電話相談センターで従事することのメリットとデメリット
税理士になると毎年年末に税理士会経由で国税局の確定申告電話相談員の募集が来ます。
多くの税理士は確定申告の繁忙期と重なるのでやりたがらないのが現状です。
それでも、従事するメリットも沢山あるので、
少なくとも1回は参加してみることをお勧めします。
目次
確かに参加するデメリットはある
確かに、確定申告電話相談センターに従事するデメリットはあります。
わたしが感じたデメリットは下記のとおりです。
- 自分の事務所の確定申告業務もあるので上手く段取りしないと追い込まれる
- 相談者を選べない(始めからケンカ腰で絡んでくる納税者もいる)
- 1日7時間60件近く相談を受けるので疲労困憊する
- 電話で話し続けるので喉が痛くなり、風邪をひくリスクも高くなる
しかし、総合的に考えると、デメリットよりもメリットの方が大きく思えます。
参加するメリット
実際に従事してみて分かった、参加するメリットは下記のとおりです。
- 国税局員、税務職員の方々と接することができる
- 一般納税者の確定申告の悩みどころが分かる
- 自分の知識不足を実感し勉強するようになる
- 相手の状況を聞き出したり、分かり易く話す訓練になる
以下、これらのメリットについて少し説明します。
国税局や税務署の職員の方々と接することができる
納税者からの質問に対して、自分でどうしても回答ができない場合は、
傍で待機している国税局や税務署の職員の方々に相談できる体制となっています。
その相談のやり取りで、彼らがどのような方法で回答へとたどり着こうとするのか
垣間見ることができます。
また国税局員や税務署員といえばよく分からない存在で、怖いイメージがありますが、
実際接してみると、自分の周りに普通にいそうな、
真面目で人当たりの良い印象の方々が大半でした。
さらに自分がたどり着けなかった回答を彼らから得ることで、
新しい知識が身につくメリットもあります。
一般納税者の確定申告の悩みどころが分かる
次のメリットですが、その年の納税者が確定申告でつまずきやすい箇所の傾向がわかります。
令和2年分で多かった質問の1つとして、公的年金の雑所得の計算方法がありました。
今回から公的年金等控除額の計算方法が変わり、ちょっとややこしくなったのですが、
予想通り多くの年配の方々がその新しい計算方法でつまずいてました。
また、今の働き方の変化の象徴として、副業収入に関する質問が多かったのも印象的でしたし
さらにコロナ禍の影響による持続化給付金の確定申告への記載方法の相談も多かったです。
自分の知識不足を実感し勉強するようになる
納税者の方々からの色々な質問を受けることで
自分が即答できない知識不足の部分がわかってきます。
例えば、株の譲渡所得の計算明細書や付表の記載方法ですが、
自分の事務所で作成するときは、確定申告ソフトに特定口座年間取引報告書などを参考に
ソフトが要求してくることを入力すれば、そこから連動して計算明細書や付表が
自動的に作成されます。
そうやって出来上がると、いかにも自分は記載方法を知ってる気分になります。
しかし納税者からの質問で、「付表の(3)の⑥には何の数字を入れればいいですか?」
などの質問がくると即答できず、自分が記載方法をよく分かっていなかたことに気づきます。
うまく対応できなかったことが悔しくて、帰宅してから申告の手引きや記載例などを
確認したりして勉強し直してました。
相手の状況を聞き出したり、分かり易く話す訓練になる
税理士に相談したら、専門用語を並び立てて何を言っているのかよく分からないとか、
こちらの要望をきちんと聞いてくれないなど、納税者からの不満をときどき耳にします。
税理士は税法や会計という専門的な勉強を長年やってきていることや、
納税者が税法を考慮せずに要求だけ強く主張されたりすると、
そういう態度を取ってしまうのも理解できます。
しかし、税理士として報酬を頂くからには、お客様に分かり易く説明することや、
要望を聞いて理解しようとする態度は、必要な能力だと思います。
そういった意味では、確定申告電話相談センターの相談員として
一般納税者から多くの相談を受けることは、その訓練として絶好のチャンスだといえます。
まとめ
国税局の確定申告電話相談センターの仕事は毎年募集がありますが、
実際に応募して従事される税理士はほんの一部です。
確かにハードな仕事で嫌な面もありますが、
やることで得られることも沢山あります。
ですから1度はどういうものか体験するのも
良いのではないかと思います。
編集後記
今月になって、各携帯電話会社の新しい格安プランが開始しましたね。
わたしもその波に乗りました。
最初はソフトバンクからラインモに移行したのですが、
テザリングが上手くいかず、
最終的には楽天モバイルに落ち着きました。
まさか最初の印象が最悪だった楽天モバイルを選ぶことになるとは…。
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