個人の免税事業者がインボイス登録に迷ったら…。試しに最初の3ヵ月だけ体験することができる
来年10月から消費税のインボイス(適格請求書発行事業者)制度が始まります。
消費税がずっと免除されてきた個人の免税事業者は、
インボイスの登録をするかどうか迷っている方も多いかと思われます。
なぜなら、登録すれば、消費税を納める義務が発生するからです。
なお、令和5年10月1日から実際にインボイス制度を体験してみて
「インボイスに登録しなければよかった!」と後悔した場合、
一定の要件を満たせば、3ヵ月後の令和6年1月1日から
免税事業者に戻ることができます。
迷ったあげくに、勢いでインボイス登録をしてしまった!
最近TVコマーシャルでも、インボイス関連のものが、多くなってきましたね。
このように世間の雰囲気や、得意先からの要請圧力などで
「えい!やー」と思い切ってインボイスの登録申請をされる
個人事業主の方もいらっしゃるかと思います。
免税事業者の場合、令和5年3月31日までにインボイスの申請をすれば、
経過措置として、消費税の課税事業者選択届出書を提出しなくても
令和5年10月1日から自動的に消費税の課税事象者としてインボイス発行事業者になれます。
インボイスの登録をして後悔したら…。
ただ、実際にインボイス発行事業者になってみて、
煩雑なインボイス書類の管理が嫌になったり、
自分がインボイス発行事業者じゃないと困るという
得意先が思いのほか少なかったりで、
登録したことを後悔する可能性もあります。
令和5年12月1日までに取消しの届出が必要
このようにインボイス登録に後悔して、今すぐにでも止めたいという個人事業者は
令和5年12月1日までに「登録取消届出書」を税務署に提出するれば、
令和6年1月1日から免税事業者に戻ることができます(消法57の2➉一)。
*ただし、その2年前(令和4年)の課税売上高が1,000万円を超えているときは、
免税事業者には戻れません(消法9①)。
まとめ
免税事業者がインボイスの経過処置の適用を受けて
令和5年10月1日からインボイス発行事業者になると、
その登録日から自動的に消費税の課税事業者にもなってしまします。
しかし、次の要件を満たせば、個人事業者の場合
令和6年1月1日から免税事業者に戻ることができます。
(平成28年改正法附則44⑤)
1.令和4年の課税売上高が1,000万円以下であること
2.令和5年3月31日までにインボイスの登録申請書を提出していること
*困難な事情がある場合には、令和5年9月30日までに提出していること
3.令和5年10月1日からインボイス登録を受けていること
4.令和5年12月1日までに登録取消届出書を提出していること
以上のことから、例えば令和6年1月1日からインボイス登録をした場合は、
その日から2年間は免税事業者には戻れないということになります。
編集後記
個人の免税事業者で、インボイス登録をすると決めたお客様がいらっしゃいます。
(まだ登録していませんが…)
ただ心配なのは、実際にインボイス登録をしてみて、
「やっぱり止めたい」と言われたときです。
それで直ぐに止められるのかどうかを調べ、この記事にしてみました。
取消しのタイミングによっては、インボイス登録は止められたけど、
消費税の課税事象者としては継続のままの期間があるなど、
複雑になります(適格請求書発行事業者でない課税事業者)。