確定申告電話相談センターの仕事で困ってしまう相談の話
一般納税者に対する税理士の税務支援として、今年も
国税局の確定申告電話相談センターの仕事に従事しています。
この仕事は今年で4度目になりますが、
受ける相談で毎年悩む内容のものがあります。
その内容は大体パターンが決まっていて、
その内容についてお話したいと思います。
「その根拠は?」と聞かれたとき
納税者からの相談に、こちらが回答すると
時々「その根拠はなんですか?」と聞かれる場合があります。
こういう時、専門家同士の研究会などでそう問われたら、
根拠法令の条文や通達などを伝えればよいのでしょう。
しかし、何十人もの相談に対応しなければならない、この電話相談で
一つ一つ条文など調べて「この条文です!」とやっている余裕はありません。
ですから、そういう時は「確定申告の手引きに載っています」とか、
「他の税務職員との確認の結果です」とお伝えしています。
なお、根拠を聞かれるということは、こちらの回答に納得がいかない、
又は正しくないと疑われている訳ですから、いい気持ちはしません。
このような質問で、納税者の仮面を被った税理士かと思われる方もいました。
(その方に「もしかして税理士先生ですか?」と聞くと直ぐに電話を切られました。
図星だったのでしょう。)
*なお、この電話相談は一般の納税者向けであって、
税理士等の専門家からの質問には応じないことになっています。
「では、次の質問ですが…」のループのとき
確定申告電話相談センターでは、なるべく多くの納税者の相談に
対応することができるように、相談者1人あたりの対応時間は
おおよそ10分となっています(目安であって決まりごとではありませんが…)。
それでも無料であるせいか、質問が次から次へと尽きない方がたまにいらっしゃいます。
3つ程質問があった場合、それに回答して終わりかと期待するのですが、
「では、次の質問ですが…」ときます。
その後も尽きることなく質問があって、40分とかが過ぎると、
こちらもちょっと苦しくなってしまいます。
質問されるときは、幾つもまとめてするのではなく、
疑問に思う都度にして頂ければ、こちらも助かるのですが。
そうはうまくいかないものです。
「鈴木先生、宜しくお願い致します!」のとき
電話がなった瞬間、こちらから
「お待たせ致しました。確定申告電話相談センター、税理士の鈴木と申します」
と言って電話を受けます。
すると、相談者の方が「鈴木先生ですか!どうかよろしくお願いします」と、
なぜかこちらの名前を先生呼びして、過剰に丁寧にお願いされたりします。
こういう場合は、大体一癖ある相談であると決まっていて、憂鬱になります。
例えばその相談者は、何度かこの電話相談センターに電話してくる方で
回答がグレーゾンのYESかNOかよく分からない微妙な内容なので、
相談員から一度、一般的な回答として「NO」が出された相談だったりします。
その後も、他の相談員から「YES」の回答を引き出そうと何度も電話が来るのです。
また、実際に書類などをじっくり見て検討しないと回答できないような複雑な質問は
所轄税務署へ直接相談してくださいとお願いするのですが、
そういう方は、なんとか電話相談で完結しようとして、丁寧にお願いされたりします。
何とかなりませんか?と言われたとき
不動産譲渡などで特例が使えるかどうかの質問に
「適用できないようです」と答えると、「どうにかなりませんか?」と
お願いされることもあります。
不動産の譲渡は特例が使えるか使えないかで、
税額が極端に変わるのでお気持ちはよくわかります。
いままで払ったことがない多額の税額になったりするので
こんな大金「払えるか!」と思うのは当然です。
しかし法令で適用できないと決まっているものは、どうにもなりません。
それを伝えるて電話を切るのですが、なぜかこちらが非道で悪人のような
気持になるのはなぜでしょう?
編集後記
今週は法人会主催の決算法人説明会の講師の仕事があります。
毎年2月にこの講師の当番が回ってくるのですが、
確定申告時期なので正直つらいです…。