税理士が格安で仕事を請け負うことの弊害について:私の経験より
税理士として独立してから4年目となります。
独立したばかりの顧客ゼロのときは、
何とかお客様の数を増やそうと格安価格で請け負っていました。
最初は格安の効果でお客様が増え、嬉しさ一杯でしたが、
格安の仕事を続けていくうちに色々と弊害が出てきました。
その弊害について書いてみたいと思います。
ちなみに現在は価格を見直し、その弊害が出ないよう心掛けています。
*独立したばかりや一時的な戦略としてであれば、格安で請け負うのも良いかもしれませんが。
お客様に対して被害妄想を抱いてしまう
格安にする弊害の1つは、お客様に対して被害妄想を抱いてしまうことです。
なお私が自覚しなければならないことは、格安で請け負うと決めたのは自分ということです。
その安さで依頼するお客様に何の悪いところはありません。
しかし格安価格に対する、こちら側(税理士)の過剰サービスの提供は、
その過剰サービス部分の時間は無償で行っているのと同じことになります。
その無償で仕事をしているときにどういう気持ちになるかというと
「こんなに自分を犠牲にして働いているのに、
あなたからはこれだけの見返り(対価)しか頂けないのですか?」と、
心の中でお客様に対して不満や怒りを抱くようになります。
お客様は何も悪くないのですが意地悪をされているような気持になってしまうのです。
その負のエネルギーが溜まっていくと精神が消耗して、他の仕事にも悪影響が出てしまいます。
プライベートの時間が犠牲となる
次の弊害は、プライベートの時間が削られてしまうことです。
格安で受注すると、生活していくために数をこなさなければなりません。
すると、一日の活動時間のうち仕事に割り当てる時間がどんどん増えていきます。
その結果、プライベートの時間を削らざるを得ません。
プライベートの時間は、自分自身や家族、又は友人との時間であり
心をリフレッシュしたり、人間関係を深めたりできる大切な時間です。
その大切な時間が格安で仕事を引き受けることで、犠牲となってしまうのです。
新しい仕事を切り開いていく意欲が低下する
さらなる弊害は、新しい仕事に対しての弊害です。
格安で請け負い、数で売上をカバーする仕事のやり方は
プライベートの時間が削られるだけではなく、
新しい仕事をするための勉強時間も奪われます。
さらに長時間の格安仕事で疲れが溜まり、
勉強する意欲も減退することになります。
では、格安でも高価格でもない値段とは
では、格安ではない適正価格とは幾らなのでしょうか?
経済学的には、そのサービスの賃金以外のコスト+剰余価値(どれだけ労働がつぎ込まれたか)
ですが、このやり方は抽象的過ぎて算定が難しいです。
ですから私の場合、適正価格だと判断する一つの目安は、
その価格で気持ちよく仕事ができるか、又はお客様に、
こんなに安い値段で仕事をやっているのだぞと
いう被害妄想を抱かなで済む価格かどうかで決めています。
もう一つの目安は、逆にこんなにお金を頂いて悪いなぁという
後ろめたさがないかどうかです。
要は、自分の心との対話で適正価格を判断しています。
曖昧に思える判断基準ですが、精神的な安定を保って
仕事を継続するうえで大切な指標だといえます。
編集後記
確定申告のピリピリとした緊張期間も今週で終了なのは嬉しいことですね。
しかし、税理士の研修受講義務36時間のうち、まだ6時間半残っています。
3月末の受講期限までに終わらせなければならないので憂鬱です。