確定申告の医療費控除(2):その他の間違いやすい点と注意点
前回は医療費控除のうち、医療保険金が絡む場合の間違いやすい点と注意点について書きました。
今回は、それ以外の間違いやすい点と注意点について書いてみたいと思います。
目次
医療費控除の明細書の書き方には2通りある
医療費控除を適用するためには、上記の「医療控除の明細書」を提出しなければなりません。
しかし、記入方法がよく分からないという納税者が毎年多くいらっしゃいます。
先ずは、「医療費控除の明細書」の記入方法は、次の2通りあることを知っておいてください。
1.健康保険組合等発行の「医療費のお知らせ」の合計額の記入+「医療費のお知らせ」に記載されていないものを領収書を基に追加記入する方法
2.全て領収書を基に記入する方法
*1の方法で記載する場合は「医療費のお知らせ」を「医療費控除の明細書」と一緒に税務署へ提出します。領収書は提出不要です。
先ずは1による記入方法を説明します。
健康保険組合等から自宅に送られてきた「医療費のお知らせ」の通知書を使います。
この通知書に記載されている自己負担額の合計額を「医療費控除の明細書」用紙の一番上の「1 医療費通知に記載された事項」欄
(1)に記入します(通知書に前年分も記載されている場合はその金額を除きます)。
その右横の(2)の欄には、上記(1)のうち、実際に支払った金額を記入します(自由診療分があった場合は、その分は通知書に記載されませんので、自由診療分も含めた実際に支払った金額を(2)に記載します。また、その年に未払い分があれば、その金額分は差引いて記入します。)*クレジットカード払い分は未払い分に該当しません。
*病院の窓口では10円未満の金額は切り捨てて請求されます。一方、通知書の方は切捨て計算しませんので、実際の支払額と多少のズレが生じます。その場合は通知書の金額でも実際の支払額でも、どちらで記載してもかまいません。
なお、通知書には当年の10月~12月分が記載されていない場合が多いですが、そういう場合はどうするか?
そういう場合の10月~12月分の医療費は、それらの月分の領収書を基に「医療費控除の明細書」用紙の真ん中にある
「2 医療費(上記1以外)の明細」欄に追加分として記載します。
次に、2の「全て領収書から記載」による方法について説明します。当年に支払った医療費、薬代などの領収書が全て手許にある場合に選択可能な方法です。
その場合は、「医療費控除の明細書」用紙の真ん中にある「2 医療費(上記1以外)の明細」欄のみ記入していきます。
なお、通院ための交通費に限っては、病院等の領収書の横にその交通費の金額を手書きしたり、又は、交通費の表を別途記録・保存していれば交通費の領収書が無くても大丈夫です。
交通費を記載する際の「(3)医療費の区分」欄は、「□その他の医療費」になりますので、その□に✓を入れます。
医療費控除の明細書は、人別・病院等別で1年分を合計して記載できる
「医療費控除の明細書」の「2 医療費(上記1以外)の明細」欄は、領収書の内容を記載する行が16行あります。
1年分の医療費の領収書が16枚以下であれば、領収書1枚ごとに1行使ってもかまいません。
しかし、それ以上の領収書がある場合は、「医療費の明細書」を複数枚使用しなければならず、煩雑になってしまいます。
そういう場合は、人別・病院等別に分けて、それぞれ1年分まとめて簡潔に記入することもできます。
タクシーを利用せざるを得ない場合は対象となる
病院に通うための交通費は、原則として公共交通機関でなければ医療費に含めることができません。
しかし、足が不自由であったり、体調が悪いなど、タクシーを使用せざるを得ない場合は
例外として、タクシー代も医療費に含めることができます。
<参考>国税庁HP/質疑応答事例/所得税/病院に収容されるためのタクシー代
医療費が10万円を超えなくても医療費控除を受けられる場合がある
「今回私の医療費は10万円超えなかったので、医療費控除は関係ないですよね?」
という納税者の疑問もよく伺います。
「医療費控除は10万円を超えないとダメ!」という噂が、世間に広まっているようです。
この噂が正解である納税者もいらっしゃいますが、そうでない方も多くいらっしゃいます。
医療費控除額は、
・当年支払った医療費の合計額 ー 10万円 又は
・当年支払った医療費の合計額 ー(総所得金額等の合計額)×5%
のいずれかで計算し、どちらか残額が大きい方が医療費控除額となるからです。
ですから、所得が少ない納税者(総所得金額等が200万円未満)は
医療費の合計額が10万円を超えなくても医療費控除を受けられる可能性があります。
医療費控除の最高額は200万円まで
インプラントなどで何百万円もの医療費を払った方が稀にいらっしゃいますが、
200万円が医療費控除の限度額となります。
それ以上は対象となりませんのでご注意願います。
編集後記
4月になって新年度がスタートしましたが、
確定申告終了後の脱力感が未だに残っています。
気持ちを切り替えないと…。