なめてはいけない医療費控除
所得税の確定申告時期も近づいて参りました。
還付申告の場合は1月1日から申告できますので、残りわずか1ヵ月半です。
確定申告の所得控除のうち、医療費控除はただ医療費の領収証を集計するだけの単純な項目と思われがちです。
しかしお客様に「これって医療費控除の対象になりますか?」と聞かれて即答できないものが結構あったりするので、なめてかかると痛い目に遭います。
よって今回、医療費控除について、自分なりに端的にまとめてみました。
医療費控除の基礎とポイント
- 控除対象医療費のポイントは、病気の治療又は療養の費用であること(予防、検診、癒し及び贅沢部分は対象外)。
- 生計を一にしている親族分を本人が支払った場合は、医療費に含めてもよい。
- 総所得金額等が200万円以上の場合で、医療費が10万円以下のときは控除されない。
- 総所得金額等が200万円未満の場合は、医療費が10万円以下であっても控除できる可能性がある。
- 1月1日から12月31日までに支払った医療費が対象であり、治療を受けていても未払いの金額(分割払いなど)は対象外。
- カード払いの場合は、利用日が支払日となる(カード会社が立替払いしていると考えるので)。
- 保険金等(医療保険、高額医療費など)の支給を受けた場合は、受けた金額を医療費から差し引く。
- 保険金等の金額が確定していない場合は見込みで計算し、その後見込みとの差額は、修正申告、更正の請求で対応する。
- 平成29年分から領収証の添付が不要となった。
セルフメディケーション税制
平成29年度分から医療費控除かセルフメディケーション税制かどちらかを選択できるようになりました。
セルフメディケーション税制のポイントは以下の通りです。
なお、私が受け持ったお客様で、この制度を適用された方は今のところいらっしゃいません。
- 特定一般用医薬品等が対象=レシートに共通識別マークが付されているものが対象品。
- 適用対象者は、一定の取り組み(健康診断、人間ドック、予防接種)を行っている人。
- 生計を一にする親族分は、その親族が一定の取り組みを行ってなくても含めることができる 。
- 控除可能額:購入金額の合計額から1万2千円を差引いた金額。なお上限は8万8千円まで
- 医療費控除との比較:医療費が18万8千円を超えていれば、必ず医療費控除が有利となる。
対象かどうが迷いやすい費用
私が以前医療費の対象となるかどうか即答できなかった事例の解答は下記の通りです。
- 目のレーシック治療費は対象となる(近視用のメガネは対象外なのに!)。
- 歯のインプラント治療費は対象となる。
- タクシー代は、バスや電車での通院が困難な場合は対象となる。
- 通院の付添人の交通費は、本人ひとりでの通院が困難な場合は対象となる。
- 入院中の食事代は、病院が支給するものは対象となる(病院の販売店での購入・食堂での食事は対象外)。
- 入院の為に必要な身の回り品(バジャマ、タオル、歯ブラシ、スリッパなど)の費用は対象外。
- 松葉づえの購入代は対象となる。車椅子の購入代は対象外。
- 介護器具のレンタルは対象外。
まとめ
1年に1回の所得税の確定申告は、1年経つと忘れてしまっていることが結構多いのです。医療費控除も再確認の意味で書かせて頂きました。